中学校のパソコン授業では、技術科「D 情報の技術」で情報技術やプログラミングを学び、国語・社会・理科などでは調査、資料作成、共有、提出の道具として端末を使います。WordやExcel、特定のプログラミング言語が全国共通で指定されているわけではありません。入学前は特定ソフトを先取りするより、文字入力やファイル保存などの基本操作を確認することが優先です。
- 中学校の技術科や各教科でパソコンをどのように使うのか
- Word・Excel・PowerPointやプログラミング言語は必修なのか
- 入学前に家庭で確認しておきたいタイピングや基本操作
中学校のパソコン授業で学ぶことは3つに分けて考える
中学校でのパソコン学習は、すべてが「パソコン」という一つの教科で行われるわけではありません。保護者が授業内容を理解するときは、次の3つに分けると整理しやすくなります。
技術科で学ぶこと
情報技術の仕組み、ネットワーク、プログラミングなどを使い、身近な問題を解決する方法を学びます。
各教科で端末を使う場面
国語、社会、理科などの学習で、情報収集、文書や資料の作成、共同編集、発表、提出などを行います。
授業を支える基本操作
ログイン、キーボード入力、コピー・貼り付け、ファイル保存、共有、提出などの操作が必要になります。
技術科では情報技術の仕組みと問題解決を学ぶ
中学校の技術・家庭科の技術分野には、「D 情報の技術」という学習内容があります。
ここでは、コンピュータやネットワークがどのような仕組みで動いているかを理解し、情報技術を使って生活や社会の問題を解決する方法を学びます。
単にプログラムを完成させればよいのではありません。解決したい問題を見つけ、必要な情報を整理し、動作を試し、うまくいかない部分を直し、結果を評価・改善するところまでが学習に含まれます。
国語・社会・理科などでは学習の道具として端末を使う
技術科以外では、パソコンやタブレットそのものを学ぶというより、各教科の学習を進めるための道具として使います。
たとえば、社会で地域について調べる、理科で観察結果を表にまとめる、国語で意見文を作成する、総合的な学習の時間に発表資料を作るといった活動があります。
文部科学省は、情報モラルを含む情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、各教科の特性に応じたICT活用を求めています。詳しくは、文部科学省「新学習指導要領のポイント(情報活用能力の育成・ICT活用)」で確認できます。
同じ資料を複数の生徒で編集したり、学習用システムから課題を受け取って提出したりすることもあります。どの教科でどの機能を使うかは、学校や授業によって異なります。
授業へ参加するための基本操作も必要になる
授業中には、IDとパスワードを入力してログインする、指定されたページを開く、文章を入力する、ファイルを保存するといった操作が必要です。
これらは独立した学習内容として長時間練習するとは限りません。先生の説明を聞きながら、教科の課題と端末操作を同時に進める場面もあります。
入学前に高度な操作を覚える必要はありませんが、基本的な入力や保存に少し慣れていると、操作に時間を取られにくくなり、授業内容へ集中しやすくなります。
技術科「D 情報の技術」で学ぶ内容
技術科の「D 情報の技術」では、情報技術の仕組みを知るだけでなく、プログラミングを使って問題を解決し、結果を評価・改善する方法を学びます。
現行の中学校学習指導要領では、次の4項目が示されています。
- 生活や社会を支える情報の技術
- ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決
- 計測・制御のプログラミングによる問題の解決
- 社会の発展と情報の技術
詳しい内容や授業の実践例は、文部科学省「中学校技術・家庭科(技術分野)内容『D 情報の技術』」で確認できます。
情報の仕組み・ネットワーク・安全な利用を学ぶ
はじめに、生活や社会の中で情報技術がどのように使われているかを学びます。
コンピュータが情報を処理する仕組み、ネットワークを通じて情報を送受信する仕組み、安全に情報を利用するための工夫などが主な内容です。
便利さだけでなく、個人情報の取り扱い、パスワードの管理、著作権、発信した情報への責任、情報の信頼性といった課題についても考えます。
さらに、情報技術が生活や社会をどのように変えているかを考え、よりよい選択、管理・運用、改良、応用の方法を検討します。
ネットワークを使った双方向コンテンツを作る
中学校では、ネットワークを利用した「双方向性のあるコンテンツ」のプログラミングを扱います。
双方向性のあるコンテンツとは、ネットワークを通じてコンピュータ同士や利用者と情報をやり取りし、入力された内容に応じて処理結果や応答を返す仕組みです。
文部科学省は実践例として、クライアントとサーバーが情報をやり取りするオンライン対戦ゲームや、Web APIを利用するコンテンツなどを紹介しています。Web APIとは、インターネット上の別のサービスから必要な情報や機能を受け取る仕組みです。
これらは授業づくりの参考例であり、全国の中学校で同じゲームや教材を作るという意味ではありません。
学校によっては、画面上の命令ブロックを組み合わせる教材を使うこともあれば、文字で命令を書く教材を使うこともあります。
センサーなどを使う計測・制御と、評価・改善を学ぶ
もう一つの柱が、計測・制御のプログラミングです。
計測とは、センサーなどを使って明るさ、温度、距離、湿度といった状態を測ることです。制御とは、測定結果や設定した条件に応じて、機器の動きを変えることを指します。
たとえば、「周囲が暗くなったらライトを点灯する」「土の乾き具合を測って知らせる」といった仕組みが考えられます。実際に使用するセンサー、機器、教材は学校によって異なります。
プログラムが最初から思いどおりに動くとは限りません。命令の順番や条件を見直し、誤りを見つけて直す作業をデバッグといいます。
中学校の学習では、作って終わりではなく、目的を達成できたか、安全性や使いやすさに問題はないかを評価し、改善・修正することが重視されます。
小学校の学習との違いを確認したい場合は、小学校のプログラミング教育で学ぶことも参考にしてください。
各教科で端末を使うときに必要な基本操作
技術科以外の授業では、端末は課題を進めるための道具として使われます。ソフト名を覚えることよりも、「何をするための操作か」を理解することが大切です。
検索・入力・写真撮影で情報を集める
調べ学習では、検索窓に言葉を入力し、必要な情報を探します。目的に合った検索語を考えたり、複数の情報源を見比べたりする力も必要です。
検索結果の上位に表示された情報が、常に正しいとは限りません。誰が発信しているのか、いつ公開されたのか、公式機関や原資料を確認できるかといった点も確かめます。
理科や技術科では、実験や制作の途中経過を写真や動画で記録することがあります。撮影したデータをどこへ保存したか分かるようにしておくことも大切です。
文書・表・スライドを作成して保存する
授業では、文章を書く、数値を表にまとめる、グラフを作る、発表用のスライドを作るといった活動があります。
学校によってはWord、Excel、PowerPointを使うことがありますが、これらが全国共通の必修ソフトとして決められているわけではありません。
ブラウザ上で動く文書作成、表計算、プレゼンテーション用のツールを使う学校もあります。そのため、入学前に特定ソフトの細かな機能をすべて覚える必要はありません。
先に身につけておきたいのは、文章を入力する、文字を修正する、画像を挿入する、ファイル名を付ける、保存場所を確認するといった、ソフトが変わっても役立つ基本操作です。
共有・共同編集・提出・CBTで端末を使う
一人でファイルを作るだけでなく、複数の生徒で同じ資料を編集することもあります。
共同編集では、ほかの人が書いた部分を勝手に消さない、自分が担当する場所を確認する、変更した内容をメンバーと共有するといった配慮が必要です。
課題の提出方法も学校によって異なります。学習用システムへファイルを添付する場合もあれば、オンライン上で作成した資料の共有設定を変更して提出する場合もあります。
紙のテストだけでなく、コンピュータの画面上で問題を読み、選択や文字入力を行うCBTを経験することもあります。CBTは「Computer Based Testing」の略で、コンピュータを使って回答する方式です。
2025年度の全国学力・学習状況調査では、中学校理科がCBT方式で実施されました。実施内容は、文部科学省の中学校理科CBTに関する説明会資料で確認できます。
入学前から特別なCBT対策をする必要はありませんが、画面の移動、選択、文字入力、回答の見直しなどに慣れていると、操作による戸惑いを減らしやすくなります。
教材・ソフト・プログラミング言語は学校ごとに異なる
中学校で使う端末、ソフト、プログラミング教材は全国で統一されていません。自治体や学校の教育方針、授業内容、端末の管理方法などによって環境が異なります。
Windows端末・Chromebook・iPadなど、端末環境が異なる
GIGAスクール構想では、児童生徒が学習に使う1人1台端末の整備と更新が進められています。
文部科学省が公表しているGIGA第2期の最低スペック基準には、Microsoft Windows端末、Google Chromebook、iPadの条件がそれぞれ示されています。記載順は推奨順位ではなく、全国で一つのOSだけを使う仕組みでもありません。
同基準では、いずれの端末についてもハードウェアキーボードが周辺機器に含まれています。詳しくは、文部科学省「学習者用コンピュータ最低スペック基準」を確認してください。
小学校と中学校で同じ種類の端末を使う地域もあれば、進学時に環境が変わる場合もあります。家庭のパソコンと学校の端末で、画面表示やファイルの保存方法が違うこともあります。
Word・Excel・PowerPointは全国共通の必修ソフトではない
文書作成、表計算、スライド作成は授業で使われることがありますが、学習指導要領は特定企業の製品名を必修ソフトとして指定していません。
大切なのは、製品名ではなく、次のような目的に応じた操作ができることです。
- 文章を作成し、読みやすく整える
- 数値や調査結果を表にまとめる
- 必要に応じてグラフを作る
- 画像や図を使って発表資料を作る
- 作成したファイルを保存・共有・提出する
一つのソフトで基本的な操作を経験していれば、学校で別のツールを使うことになっても、「文章を作る」「表にまとめる」「保存する」といった共通する目的を理解しやすくなります。
プログラミングは言語名より学ぶ目的を確認する
中学校で全国共通に使用するプログラミング言語は定められていません。
授業では、命令の部品を画面上で組み合わせる教材、文字で命令を入力する教材、ロボットやセンサーを動かす教材などが使われます。
使用する教材が違っても、問題を見つける、処理の流れを考える、条件を設定する、実行結果を確かめる、修正するという学習の流れには共通点があります。
⚠️ 特定ソフトや言語の先取りを必須と考えない
学校で使う端末や教材が分からない段階で、特定のOS、Office製品、プログラミング言語だけを集中的に覚える必要はありません。まずは学校の案内を確認し、本人の興味や実際の授業に合わせて学習内容を選びましょう。
入学前に家庭で確認したいパソコン操作
中学校入学前の準備では、タイピング速度の数値目標を決めるより、授業中によく使う基本操作ができるかを確認します。
入学前の基本操作チェックリスト
- IDとパスワードを区別して入力できる
- ひらがな・漢字・英数字を切り替えて入力できる
- 短い文章を入力し、間違えた文字を修正できる
- 文章や画像をコピー・貼り付けできる
- 内容が分かるファイル名を付けて保存できる
- 保存したファイルをもう一度開ける
- 指定されたページやフォルダを開ける
- 先生の説明に沿って、課題の添付・共有・提出を進められる
- 情報の発信者や出典を確認する習慣がある
タイピングは速度より短い文章を正確に入力できるか確認する
中学校入学までにブラインドタッチを完成させる必要はありません。ブラインドタッチとは、キーボードをほとんど見ずに入力する方法です。
最初はキーボードを見ながらでも、名前、検索語、短い文章を入力できれば構いません。入力を間違えたときに、BackspaceキーやDeleteキーを使って修正できることも大切です。
文部科学省の学習指導要領やGIGA第2期の端末基準には、中学生全員に共通する「1分間に何文字」というタイピング速度は示されていません。速さだけを求めると、正確さが崩れたり、練習が負担になったりすることがあります。
まずは短時間でも定期的に入力し、正しく打てる文字を少しずつ増やします。詳しい練習方法は、初心者向けのタイピング練習方法も参考にしてください。
保存場所・ファイル名・コピー・貼り付けを練習する
文字入力ができても、作成したファイルを見失うと提出できません。家庭で文章を作成するときは、保存した場所とファイル名を一緒に確認しましょう。
「新しい文書」「無題」のまま保存するのではなく、「理科レポート」「自己紹介」など、内容が分かる名前を付ける練習が役立ちます。
コピー・貼り付けもよく使う操作ですが、Webページの文章をそのまま自分の意見として提出してよいわけではありません。
ほかの人の文章や画像を利用するときは、学校の指示に従い、どこから得た情報なのかを記録します。引用する場合は、必要な範囲だけを使うことも一緒に確認しましょう。
ログイン・パスワード・出典確認の習慣を付ける
学校では、端末本体、学習用システム、教材サービスなどで、複数のIDやパスワードを使う場合があります。
パスワードを友達に教えない、他人のアカウントを使わない、共有端末では使用後にログアウトするといった基本ルールを確認しておきましょう。
インターネットで情報を調べるときは、発信者、公開日、根拠を確認します。国や自治体、学校、研究機関、企業の公式ページなど、情報の出どころを見分ける習慣も大切です。
中学生が継続して身につけたい操作や学習方法については、中学生が身につけたいパソコンスキルで詳しく解説しています。
パソコンや有料教材はいつ用意するか
中学校入学前に、高額なパソコンやプログラミング教材を急いで購入する必要はありません。最初に学校の端末環境と利用方法を確認し、その後に不足しているものだけを検討します。
まず学校の端末・持ち帰り・指定ソフトを確認する
入学説明会や学校からの案内では、次の点を確認します。
- 学校から1人1台端末が貸与されるか
- 端末を家庭へ持ち帰れるか
- 家庭での充電やインターネット接続が必要か
- 家庭用端末から学習システムへアクセスできるか
- 指定されたソフトやアプリがあるか
- 家庭で用意する周辺機器があるか
学校端末を家庭へ持ち帰り、課題にも利用できる場合は、家庭用パソコンを新たに購入しなくても対応できる可能性があります。
一方、持ち帰りに制限がある場合や、家庭で長い文章や資料を作る機会が多い場合は、家庭用端末が役立つこともあります。必要性は学校の方針と家庭での利用目的を確認して判断します。
基本操作は家庭の端末や無料ツールでも練習できる
入学前の練習は、現在家庭にあるパソコンや、ハードウェアキーボードを利用できる端末で始められます。
練習用に特定の有料ソフトを購入しなくても、短い文章の入力、コピー・貼り付け、ファイル名の変更、保存と再表示などは確認できます。
学校と家庭でOSやソフトが違っても、文字入力、保存、共有といった操作の目的には共通点があります。画面の見た目を丸暗記するより、「今は何をするための操作か」を考える習慣を付ける方が応用しやすくなります。
追加教材は本人の興味や授業後の困りごとを見て判断する
プログラミング教材や講座は、すべての中学生に必要なものではありません。
学校の授業を受けた後に、本人がもっとプログラムを作りたいと感じた場合や、操作に慣れるための追加練習を希望した場合に検討できます。
反対に、本人が基本操作で困っている段階で高度な教材を追加すると、学校の課題と家庭学習の負担が重なることがあります。
教材や家庭用端末は、次の順番で必要性を判断すると、目的の合わない購入を避けやすくなります。
- 学校の端末、指定ソフト、持ち帰り方針を確認する
- 文字入力、保存、共有などの基本操作を確認する
- 不足している操作だけを、家庭の端末や無料ツールで練習する
- 本人の興味や実際の困りごとが明確な場合に、追加教材を検討する
高校の「情報Ⅰ」や大学入試を意識して、中学生の段階から一律に先取りする必要もありません。まずは中学校の授業で扱う情報技術や基本操作を理解し、自分で考えて試す経験を積むことが大切です。
よくある質問(FAQ)
中学校ではWord、Excel、PowerPointを必ず使いますか?
全国共通の必修ソフトではありません。学校の端末や契約しているサービスによっては、Microsoft製品を使う場合もあれば、ブラウザ上の文書作成、表計算、プレゼンテーション用ツールを使う場合もあります。
中学校のプログラミングでは何語を学びますか?
全国共通のプログラミング言語は決まっていません。ブロック型教材、文字で命令を書く教材、ロボットやセンサーを使う教材など、学校や授業の目的によって異なります。
入学までにブラインドタッチを習得する必要がありますか?
必須ではありません。キーボードを見ながらでも、短い文章を入力し、間違いを修正できれば基本的な準備になります。速度よりも正確さと、無理なく入力を続けられることを優先しましょう。
中学生用のパソコンを家庭で購入する必要がありますか?
学校端末の持ち帰り方針や家庭で行う課題によって異なります。入学前に購入を決めず、学校から端末、指定ソフト、家庭学習の方法について案内を受けてから判断するのが安全です。
タブレットしか使ったことがなくても授業についていけますか?
はい。タブレットしか使ったことがなくても、入学前に高度なパソコン操作を身につける必要はありません。キーボード入力、ファイル保存、コピー・貼り付けなどを少し練習しておくと、操作への戸惑いを減らしやすくなります。
まとめ:中学校のパソコン授業と入学前の準備
中学校のパソコン授業について、技術科で学ぶ内容、各教科での端末利用、教材やソフトの違い、家庭でできる準備を解説しました。
- 技術科では情報技術による問題解決を学ぶ
ネットワークを使ったコンテンツや、センサーによる計測・制御などを題材に、問題の発見、制作、評価、改善まで行います。
- 各教科でも端末を学習の道具として使う
情報収集、文書や表の作成、共同編集、発表、課題提出などで利用します。
- 端末・ソフト・教材は学校によって異なる
WordやExcel、特定のプログラミング言語が全国共通の必修と決まっているわけではありません。
- 入学前は基本操作を優先する
ログイン、短い文章の入力、コピー・貼り付け、ファイル保存などを確認しておくと授業へ参加しやすくなります。
- パソコンや有料教材は学校の案内後に判断する
端末の貸与や持ち帰り方針を確認し、本人の興味や実際の困りごとに応じて検討します。
中学校入学までに高度なプログラミングやブラインドタッチを完成させる必要はありません。まずは子どもと一緒に基本操作を確認し、苦手な部分だけを少しずつ練習しておきましょう。
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