【小学校入学前に】「くれよんのくろくん」で学ぶ、個性の尊重と協調性|絵本ガイド

  • 公開日:2025/2/9
  • 最終更新日:
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【小学校入学前に】「くれよんのくろくん」で学ぶ、個性の尊重と協調性

仲間はずれにされた黒いクレヨンが、自分にしかできない役割を見つけて輝く物語。小学校入学を控えたお子さまに、自己肯定感と協調性を育む一冊です。

なぜ今「くれよんのくろくん」なのか

小学校入学を控えた時期、お子さまは新しい環境への期待と不安を抱えています。「自分は受け入れてもらえるだろうか」「友達はできるだろうか」——そんな心の揺れに寄り添ってくれるのが『くれよんのくろくん』です。

この絵本は、単なる「仲良くしよう」という表面的なメッセージではありません。一人ひとりに固有の価値があること、そして互いの違いを認め合うことで、もっと素晴らしいものが生まれることを、色鮮やかなクレヨンたちの物語を通じて伝えてくれます。

対象年齢:3歳〜小学校低学年(特に入学前の5〜6歳に最適)
テーマ:自己肯定感、個性の尊重、多様性、協調性、問題解決
著者:なかやみわ | 出版社:童心社 | 発売:2001年

物語のあらすじ

ある日、新品のクレヨンたちが箱から出てきて、真っ白な画用紙に絵を描き始めます。きいろくん、あかちゃん、あおくん、みどりちゃん……それぞれが得意な絵を描いて楽しんでいました。

ところが、くろくんだけは仲間に入れてもらえません。「黒は汚いから」「せっかくの絵が台無しになる」と言われてしまうのです。

くろくんは悲しみながらも、画用紙の隅でじっと待ち続けます。やがて他のクレヨンたちがケンカを始め、画用紙はぐちゃぐちゃに……。

そこへシャープペンのお兄さんが現れて、くろくんに提案します。「きみにしかできないことがあるんだよ」——くろくんが画用紙全体を黒く塗りつぶすと、シャープペンが削って美しい花火の絵が浮かび上がりました。みんなは驚き、くろくんに感謝します

「くろくん」が育む5つの力

1

自己肯定感の育成

「自分にも役割がある」と気づくくろくんの姿から、お子さまは自分の存在価値を実感します。入学後に直面する可能性のある「自分は他の子と違う」という不安を、前向きな個性として受け止める力が育ちます。

※自己肯定感の発達には個人差があります

2

多様性の理解

カラフルなクレヨンたちが、それぞれ異なる色と役割を持っている様子から、多様性の価値を視覚的に学べます。「違うこと」は「劣っていること」ではなく、「豊かさ」につながると理解できます。

※理解の深まり方は発達段階により異なります

3

協調性とチームワーク

バラバラだったクレヨンたちが、最後には協力して美しい作品を完成させる展開から、協力することの素晴らしさを学びます。入学後のグループ活動への心の準備にも役立ちます。

4

忍耐と待つ力

仲間はずれにされても腐らず、自分の出番を待ち続けるくろくんの姿勢から、忍耐力と前向きな待機の姿勢を学びます。すぐに結果が出なくても大丈夫、という安心感を与えてくれます。

5

問題解決能力

ケンカで混乱した状況を、くろくんとシャープペンが協力して解決する場面から、創造的な問題解決のプロセスを体験できます。困ったときには新しい視点で考えることの大切さを伝えます。

年齢別・発達段階別の楽しみ方

3〜4歳
色彩認識期

この時期の特徴

色の名前を覚え、視覚的な美しさを楽しむ時期。物語の深い意味よりも、カラフルなクレヨンたちの動きや色の変化に注目します。

読み聞かせのポイント

  • 「これは何色かな?」と色の名前を一緒に確認
  • クレヨンたちが描く絵を指さしながら「ちょうちょだね」「お花だね」と共感
  • 最後の花火のページで「きれい!」と一緒に驚く
  • 読み終えたら、実際にクレヨンで絵を描く体験へつなげる
おすすめアクティビティ:黒い画用紙にカラフルなクレヨンで自由に描く体験

5〜6歳
感情理解期(入学前に最適)

この時期の特徴

仲間はずれや孤独といった感情を理解し始める時期。くろくんの気持ちに共感し、自分自身の経験と重ね合わせることができます。

読み聞かせのポイント

  • 「くろくんはどんな気持ちだったと思う?」と感情を言語化
  • 「もし自分がくろくんだったら、どうする?」と想像を促す
  • 「みんなに『ありがとう』って言われて、くろくんは嬉しかったね」と成功体験を共有
  • 入学後の「みんな違って、みんないい」につながる対話を
おすすめアクティビティ:スクラッチアート体験(黒い面を削ると色が出る)

小学校低学年
社会性発達期

この時期の特徴

実際の集団生活の中で「自分の役割」や「協力」を体験している時期。物語のメッセージをより深く理解し、自分の生活に応用できます。

読み聞かせのポイント

  • 「クラスでも、みんな得意なことが違うよね」と実生活と結びつける
  • 「シャープペンのお兄さんは、なぜくろくんの良さに気づいたんだろう?」と深い思考を促す
  • 「クレヨンたちがケンカしたのはなぜ?」と問題の背景を考える
  • 自分の「くろくん体験」(仲間はずれや成功体験)を共有する機会に
おすすめアクティビティ:友達と協力して一つの大きな作品を作る共同制作

保護者の方へ:読み聞かせで大切にしたいこと

1. 感情に寄り添う対話を

「くろくんはどんな気持ちだったと思う?」という問いかけから始めましょう。お子さまの答えに正解・不正解はありません。感じたことを言葉にする練習そのものが、感情を理解する力を育てます。

もしお子さまが「悲しい」と答えたら、「そうだね、仲間に入れてもらえなくて悲しかったよね」と共感を示してください。

2. 「違い」をポジティブに

「黒は暗い色だから嫌われた」という展開を、「違い」を否定的に捉える機会にしないことが重要です。むしろ、「最後にくろくんがいてくれて、素晴らしい花火ができたね」と、違いが生み出す価値を強調しましょう。

日常生活でも「○○ちゃんは走るのが速いね。あなたは絵が上手だね。みんな違って素敵だね」と、多様性を肯定的に伝える言葉がけを心がけましょう。

3. 実体験とつなげる

読み聞かせの後、実際にクレヨンや絵の具を使って体験型の活動につなげると、理解が深まります。特に「黒い画用紙にカラフルなクレヨンで描く」体験は、くろくんの重要性を実感できる最良の方法です。

簡単にできる家庭活動

  • 黒い画用紙に色鉛筆やクレヨンで絵を描いてみる
  • スクラッチアート(100円ショップでも購入可能)に挑戦
  • 夜空(黒)に星や花火を描く工作

4. 繰り返し読む価値

この絵本は、読むたびに新しい気づきがあります。初回は色彩を楽しみ、2回目は感情に注目し、3回目は社会的なメッセージを理解する——成長に応じて深まる理解を大切にしてください。

お子さまが小学校に入学してから読み返すと、「ああ、こういう意味だったのか」と新たな発見があるかもしれません。※理解の深まり方には個人差があります。

よくある質問

Q

子どもが「くろくんがかわいそう」と言って悲しんでしまいます。どう対応すればいいですか?

A

お子さまの共感力が育っている証拠です。まずは「そうだね、仲間に入れてもらえなくて悲しかったよね」と気持ちを受け止めてあげてください。

その上で、「でも最後はどうなった?」と前向きな結末に注目を促すことが大切です。「くろくんがいたから、こんなに素敵な花火ができたんだよね。みんなに『ありがとう』って言ってもらえて、くろくんは嬉しかったと思うよ」と、成功体験の部分を強調しましょう。

また、「もし○○ちゃん(お子さまの名前)がくろくんのお友達だったら、どうする?」と問いかけることで、他者を助ける視点も育てられます。

Q

「黒は汚い」という表現が気になります。ネガティブな印象を与えませんか?

A

確かに物語の序盤では黒が否定的に扱われますが、これは偏見や思い込みを描くための意図的な設定です。物語全体を通じて、その偏見が間違っていたことが明らかになる構造になっています。

読み聞かせの際には、「最初はみんな黒を嫌がっていたけど、本当は黒ってすごく大事な色だったんだね」と偏見の克服というメッセージを明確に伝えることが重要です。

また、実際に黒い画用紙にカラフルな絵を描く体験をすることで、「黒があるからこそ、他の色が映える」という視覚的な理解も促せます。

Q

何歳から読み聞かせできますか? 3歳には早いでしょうか?

A

3歳から十分に楽しめます。ただし、年齢によって楽しみ方が異なる点を理解しておくことが大切です。

  • 3〜4歳:カラフルなクレヨンや花火の美しさを視覚的に楽しむ時期。深い意味を理解できなくても問題ありません。
  • 5〜6歳:くろくんの感情に共感し、「仲間はずれ」「役割」といった社会的なテーマを理解し始めます。入学前に最も効果的な時期です。
  • 小学校低学年:実際の集団生活と結びつけて、より深くメッセージを理解できます。

お子さまの反応を見ながら、成長に応じて繰り返し読むことをおすすめします。※発達には個人差があります。

Q

この絵本を読むことで、実際に子どもの自己肯定感は高まりますか?

A

絵本の読み聞かせは、お子さまの心の成長をサポートする有効な手段の一つですが、一冊の絵本だけで劇的に変化するわけではありません。※効果には個人差があります。

重要なのは、絵本を通じた日常的な対話と、実生活での肯定的な関わりです。「くれよんのくろくん」を読みながら、「あなたにも、あなたにしかできないことがあるよ」「みんな違って、みんないいんだよ」というメッセージを、日々の生活の中で繰り返し伝えることが大切です。

また、お子さまが何か小さなことでも成功したとき、「くろくんみたいに、あなたも素敵な役割を果たしたね」と具体的に認める声がけが、自己肯定感の育成につながります。

読後に楽しむ!「くろくん」体験アクティビティ

🎨

1. スクラッチアート体験

準備するもの:黒い画用紙、カラフルなクレヨン、竹串や爪楊枝

手順

  1. 黒い画用紙全体にカラフルなクレヨンでランダムに塗る
  2. その上から黒いクレヨンで全体を覆う
  3. 竹串で削ると、下のカラフルな色が現れる!
  4. 花火や夜空の絵を描いてみましょう

学びのポイント:黒の下に隠れた色の美しさを実感し、「見えないところにも価値がある」ことを体験できます。

🌈

2. みんなで協力!大きな絵

準備するもの:大きな模造紙、色々な色のクレヨンや絵の具

手順

  1. 家族やお友達と一緒に、一枚の大きな紙に自由に絵を描く
  2. それぞれが好きな色で好きなものを描く
  3. 最後に黒いクレヨンで輪郭を描いたり、影をつけたりして完成

学びのポイント:協力して一つのものを作る楽しさと、それぞれの個性が合わさることで素敵な作品になることを体験できます。

💬

3. クレヨンごっこ(役割遊び)

準備するもの:カラフルな布やリボン(色別)

手順

  1. それぞれがクレヨンの役になりきる(赤、青、黄色、黒など)
  2. 物語を演じてみる
  3. 「くろくんだったら、どんな気持ち?」と感情を表現してみる
  4. 最後は「ありがとう」をみんなで言い合う

学びのポイント:役割遊びを通じて、他者の気持ちを想像する力(共感力)が育ちます。

📖

4. 「私のできること」絵本作り

準備するもの:画用紙数枚、クレヨン、ホチキス

手順

  1. 「わたしのできること」というタイトルの小さな絵本を作る
  2. 各ページに「○○ができる」「○○が得意」と絵を描く
  3. 最後のページには「わたしにしかできないこと」を描く
  4. 完成したら、家族に読んであげる

学びのポイント:自分の得意なことや個性を見つけ、自己肯定感を高めることができます。

シリーズ作品で広がる「くろくん」の世界

『くれよんのくろくん』は、続編が複数出版されている人気シリーズです。最初の作品で自信を取り戻したくろくんが、その後どのように成長していくのか——続きの物語も、お子さまの成長段階に応じて楽しめます。

📕 くろくんとふしぎなともだち

くろくんがバスに乗って新しい友達に出会う物語。自信をつけたくろくんが、今度は自分から行動を起こします。

📕 くろくんとちいさいしろくん

小さな白いクレヨンとの出会いを通じて、弱い立場の友達を助ける優しさを学ぶ物語。

📕 くろくんとなぞのおばけ

おばけ騒動を通じて、仲間と協力して問題を解決する力を育む冒険物語。

シリーズを通して読むことで、くろくんの成長過程を追体験でき、お子さま自身の成長とも重ね合わせることができます。

書籍情報

タイトル:くれよんのくろくん

作・絵:なかやみわ

出版社:童心社

発売日:2001年10月

対象年齢:3歳〜小学校低学年

ページ数:32ページ

全国の書店、オンライン書店でお求めいただけます。図書館でも広く所蔵されていますので、まずは図書館で借りて読んでみるのもおすすめです。

まとめ:小学校入学前に「くろくん」を読む意味

『くれよんのくろくん』は、単なる楽しい絵本ではありません。小学校という新しい環境に飛び込むお子さまにとって、「自分には価値がある」「違っていても大丈夫」というメッセージを届けてくれる、心の支えとなる一冊です。

入学後、お子さまはさまざまな個性を持つクラスメイトと出会います。そのとき、「みんな違って、みんないい」という価値観を持っているかどうかが、お子さまの学校生活の質を大きく左右します。※適応には個人差があります。

ぜひ、入学前のこの大切な時期に、親子で『くれよんのくろくん』を読み、対話を重ねてください。そして、読み終わった後には実際にクレヨンを手に取り、色とりどりの絵を一緒に描いてみてください。その体験が、お子さまの心に「自分らしくていい」という確信を育んでくれるはずです。

くろくんが最後に輝いたように、お子さま一人ひとりにも、その子にしかない素晴らしい輝きがあります。その輝きを信じ、認め、育てていきましょう。

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