【科学的データで解説】子どものスマホ・ゲーム時間と学力の関係|適切な制限とルール作りのコツ
- 公開日:2026/2/14
- 最終更新日:
- 教育
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子どものスマホ・ゲーム時間と学力の関係|科学的データとルール作り
「うちの子、ゲームばかりで全然勉強しない…」「スマホを取り上げたら成績が上がる?」そんな悩みを抱えていませんか。
文部科学省の全国学力・学習状況調査によると、子どものスマホ・ゲーム時間は年々増加傾向にあり、学力との相関も指摘されています。一方で、研究データでは「1時間未満のゲームは成績に悪影響がない」「完全に禁止しても勉強時間はほとんど増えない」という結果も示されています。
この記事では、科学的データに基づいた適切な制限時間と、子どもが自ら守れるルール作りの方法をお伝えします。
💡 スマホ・ゲームは「スパイス」
スマホやゲームは料理のスパイスのようなものです。適量なら料理(生活)を豊かにしますが、入れすぎると味が崩れてしまいます。大切なのは「完全に排除すること」ではなく、「適切な量を見つけること」です。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
- スマホ・ゲームが学力に与える本当の影響(最新データ付き)
- 年齢別の適切な利用時間の目安
- 子どもが守れるルール作りの具体的な5ステップ
- ゲームを「学び」に変える方法
注:子どものスマホ・ゲーム利用には個人差があります。この記事では一般的な科学的データを紹介しますが、お子さんの状況に合わせて調整してください。
⚠️ 注意事項
この記事は一般的なアドバイスを提供するものであり、医学的診断や治療を推奨するものではありません。ゲーム依存が疑われる場合(昼夜逆転、不登校など)は、専門機関にご相談ください。
スマホ・ゲームが学力に与える影響【科学的データで検証】
「スマホやゲームは成績を下げる」という意見は本当でしょうか。最新の科学的データから検証します。
文部科学省の全国学力・学習状況調査から分かったこと
文部科学省「全国学力・学習状況調査」の経年変化分析によると、スマホ・ゲーム利用時間と学力の関係について以下のデータが示されています。
利用時間は3年間で大きく変化しています。
- 小学6年生:平日のゲーム・スマホ利用時間が増加傾向
- 中学3年生:平日の利用時間が特に長い傾向
学力との関係では以下の傾向が見られます。
- 利用時間が長い子どもほど学力テストの正答率が低い傾向
- 勉強時間が減少している子どもで成績低下が顕著
社会経済的背景(SES)が低い子どもほどゲーム・スマホ使用時間が長い傾向も見られ、複合的な要因が学力に影響していることが分かります。
研究データが示す「使用時間と成績の関係」
経済産業研究所(RIETI)の分析では、学習時間とゲーム時間の関係が詳細に研究されています。
主な発見:
- ゲーム時間が長い子どもほど学力テストの得点が低い相関関係
- 平日1時間程度のゲーム使用は、学力に大きな悪影響を与えないという研究結果
- 長時間の利用は睡眠時間や勉強時間の減少につながり、結果として学力に影響
特に注目すべきは、「適度な利用なら問題ない可能性がある」という点です。これは「ゲームそのものが悪い」のではなく、「時間の使い方」が重要であることを示唆しています。
「ゲーム=悪」ではない|適度な使用なら問題なし
研究データが示すように、適度な利用時間内であれば、ゲームが直ちに成績を下げるわけではありません。
適度なゲームのメリット:
- 友達とのコミュニケーションのきっかけになる
- ストレス解消の効果
- 手先の器用さや反射神経の向上
- 戦略的思考力の育成(一部のゲーム)
ゲーム以外の楽しい学習方法についてはこちらでも、学習意欲を引き出す方法を紹介しています。
子どもの年齢別|適切なスマホ・ゲーム時間の目安
では、実際にどのくらいの時間なら問題ないのでしょうか。年齢別の目安を紹介します。
小学生の場合(平日1時間、休日1.5時間が目安)
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、小学生高学年のスマホ所有率は年々上昇しており、現在では過半数に達しています。
小学生の目安:
低学年(1〜3年生)
平日:30分〜1時間
休日:1時間〜1.5時間
ポイント:保護者が隣で見守る。ペアレンタルコントロールの活用を。
高学年(4〜6年生)
平日:1時間
休日:1.5時間
ポイント:自分で時間を管理する練習を始める。ルールを一緒に決める。
学力への影響を考えると、平日1時間以内に抑えるのが望ましいでしょう。
中学生の場合(平日1.5時間、休日2時間が目安)
中学生は部活や塾との両立を考慮した時間設定が必要です。
中学生の目安:
- 平日:1時間〜1.5時間(部活や塾の予定を考慮)
- 休日:2時間
研究データで「3時間以上の利用で学力への影響が顕著」という結果を踏まえると、平日2時間以内に抑えるのが賢明です。
高校生の場合(自己管理能力を育てる段階へ)
高校生になると、一律の制限より自己管理を促すアプローチが有効です。
高校生のポイント:
- 一律の時間制限より、目標達成に向けた自己管理を促す
- 受験期はルールを見直す(平日は最小限にするなど)
- スマホを学習ツールとして活用する方法を教える
高校生では「なぜ制限が必要か」を理解させ、自分でコントロールする力を育むことが重要です。
完全に禁止すべき?それとも時間制限?【科学的根拠から考える】
「いっそのこと完全に禁止してしまおうか」と考える保護者の方もいるでしょう。しかし、研究結果は意外な事実を示しています。
「ゲームを取り上げても勉強しない」という研究結果
経済産業研究所の中室牧子氏による研究では、興味深いデータが示されています。
重要な知見:
- テレビやゲームを1時間やめさせても、学習時間は数分程度しか増えない
- 単純な禁止では子どもは別のこと(スマホでチャット、動画視聴など)に時間を費やす
つまり、「ゲームを禁止すれば勉強する」という考えは科学的に正しくないことが分かります。
💡 ゲーム禁止は「水を止める」こと
ゲームを禁止するのは、川の流れ(子どもの自由時間)を手で止めるようなものです。片手で止めても、水は別の場所から溢れ出します(別の遊びに時間を使う)。大切なのは「水をどこに流すか」を決めることです。
完全禁止が逆効果になるケース
完全禁止には以下のリスクがあります。
完全禁止のリスク:
- 友達との関係:共通の話題が減り、疎外感を感じる
- 隠れてやる:親の目を盗んで利用するようになる
- 親子の信頼関係の悪化:「親はわかってくれない」という気持ちが強まる
韓国や中国では厳格な規制(深夜利用禁止法など)が導入されましたが、抜け道を探す子どもが多く、十分な効果が上がっていないとの報告もあります。
「適切なルール」の方が効果的な理由
完全禁止より時間制限の方が効果的な理由は、心理学の「自己決定理論」で説明できます。
自己決定理論とは、「自分で決めたことは守ろうとするが、他人に押し付けられたことは守らない」という心理学的理論です。自己決定理論と非認知能力の育成についてはこちらで詳しく解説しています。
ルール作りが効果的な理由:
- 子どもと一緒に決めたルールは守られやすい
- 自己管理能力の育成につながる
- 親子の信頼関係を築ける
子どもが守れる!効果的なルール作りの5ステップ
では、具体的にどのようにルールを作ればよいのでしょうか。子どもが自ら守れるルール作りの5ステップを紹介します。
ステップ1: 子どもと一緒に話し合う(押しつけない)
最初のステップは、子どもと一緒に話し合うことです。「なぜルールが必要か」を子どもが納得できる形で説明しましょう。
説明のポイント:
- 「勉強しなさい」と言うのではなく、「睡眠時間が減ると成長に影響するよ」と説明
- 「成績が下がるからダメ」ではなく、「長時間見ると目が疲れるよね」と健康面から伝える
- 「〇〇くんはどう思う?」と子どもの意見を聞く
話し合いで確認すること
- 現在の利用時間を知っているか
- 自分で適切だと思う時間はどのくらいか
- ゲームで一番楽しいのは何か
- ゲーム以外でやりたいことはあるか
ステップ2: 具体的で測定可能なルールにする
「適度に」「ほどほどに」という曖昧なルールは守れません。具体的で測定可能なルールにすることが重要です。
良いルールの例:
- 「平日は1時間、休日は2時間まで」
- 「宿題が終わってから」
- 「夜9時以降は使わない」
- 「食事中は使わない」
避けるべきルール:
- 「適度にね」→ 何が適度か分からない
- 「勉強してから」→ 勉強しなかったらどうなるか不明確
- 「ダメなときはダメ」→ 基準が分からない
ステップ3: ルールを破ったときの対応を事前に決める
ルールを破ることは必ず起こります。その際の対応を事前に決めておくことで、感情的な対立を防げます。
ペナルティの設定例:
- 翌日の利用時間を30分減らす
- 1回の超過で翌日の利用権を失う
- 3回連続で破ったら1週間利用禁止
⚠️ ペナルティ設定の注意点
スマホやゲームを完全に没収するペナルティは逆効果です。「どうせ没収されるなら隠れてやろう」という気持ちを生む可能性があります。ペナルティは「時間短縮」程度に留めましょう。
ステップ4: 定期的に見直す(成長に合わせて調整)
一度決めたルールを永遠に守り続けるのは難しいです。成長に合わせて定期的に見直しましょう。
見直しのタイミング:
- 1〜2ヶ月ごとに振り返り会議
- 守れたら少し緩める(自主性を信じる)
- 守れなかったら原因を話し合う
- 進学時(小学校→中学校など)に見直し
ステップ5: 親も一緒にルールを守る
最後に重要なのは、親も一緒にルールを守ることです。「子どもには1時間と決めているのに、親はずっとスマホを見ている」では、子どもは納得しません。
親が守るべきルール:
- 子どもの前でスマホばかり見ない
- 食事中はスマホを置く
- 「スマホの時間」と「スマホを置く時間」を明確にする
家族全員が守るルールにすることで、子どもも「自分だけが制限されている」と感じにくくなります。
ルールを守らせる3つのコツ【心理学的アプローチ】
ルールを決めても、実際に守らせるのは簡単ではありません。心理学的に効果的な3つのコツを紹介します。
コツ1: ペナルティより「ご褒美」を活用
心理学では「アプローチ目標(何をする)」の方が「回避目標(何をしない)」より達成しやすいことが分かっています。
❌ ペナルティ中心
「ルールを破ったら禁止」
→ 子どもは「守らなければならない」と感じる
→ プレッシャーになる
✅ ご褒美中心
「時間内で終われたら○○できる」
→ 子どもは「目標を達成したい」と感じる
→ ポジティブな動機づけ
ご褒美の例:
- 1週間ルールを守れたら、週末に好きなゲームを1時間追加
- 時間内に終われたら、好きなおやつを一緒に食べる
- 1ヶ月間守れたら、家族でどこかに出かける
コツ2: タイマーやアプリで「見える化」
時間の概念は子どもには分かりにくいものです。タイマーやアプリで「見える化」することで、自己管理しやすくなります。
活用できるツール:
- スクリーンタイム(iPhone):アプリごとの利用時間制限が可能
- ファミリーリンク(Android):利用時間の制限、許可制アプリの設定
- キッズ時計:時間が見えるアナログ時計で視覚的に理解
「あと5分」と言うより、タイマーの音で終了を知らせる方が、親子の感情的な対立を防げます。「タイマーが鳴ったから終わりだね」と機械的に終わらせることができます。
コツ3: ゲームの後に楽しい活動を用意
ゲームを終わった後に「勉強」だけが待っていると、子どもはゲームを終わりたくなくなります。ゲームの後に楽しい活動を用意することで、スムーズに切り替えられます。
ゲーム後の楽しい活動:
- 家族でのボードゲーム
- 好きなおやつタイム
- 外遊び(公園、サイクリングなど)
- お風呂(リラックスタイム)
勉強を楽しくする脳科学的アプローチでも、楽しい活動を組み合わせる効果を紹介しています。
ゲームを「学び」に変える発想【eスポーツ・プログラミング活用】
ゲームを単なる「遊び」ではなく、「学び」に変える発想もあります。ポジティブな活用方法を紹介します。
eスポーツが教育現場で注目される理由
近年、eスポーツ(電子競技)が教育現場で注目されています。NASEF JAPANには多くの学校が加盟しており、学校教育への導入が進んでいます。
eスポーツで身に付くスキル:
- チームワーク:仲間と協力して目標を達成する力
- 戦略的思考:先を読んで計画を立てる力
- コミュニケーション能力:仲間と意思疎通を図る力
- 問題解決能力:状況に応じて判断する力
文部科学省もeスポーツの教育効果に注目しており、「eスポーツ×教育」の取り組みも進んでいます。
ゲームで英会話を学ぶ「eスポーツ英会話」
ゲームを通じて実践的な英会話を習得する「eスポーツ英会話」も登場しています。海外のプレイヤーとコミュニケーションを取りながら、自然に英会話を学べます。
ゲームが好きな子どもにとっては、「勉強」ではなく「ゲームの延長」として英語を学べるため、高いモチベーションで取り組めます。
Minecraftでプログラミングを学ぶ
Minecraft Educationを活用したプログラミング学習も広がっています。ブロックを積み上げる感覚でプログラミングの基礎を学べます。
Minecraftで学べること:
- 論理的思考力(「もし〇〇なら××する」の考え方)
- 空間認識能力(3次元での構築)
- 問題解決能力(エラーが出たときの修正)
- 創造力(自分だけの世界を作る)
ChatGPTを子どomsの学習に活用する方法も含め、デジタルツールを学びに活用する選択肢は広がっています。
よくある質問(FAQ)
Q1: 他の家庭はどのくらい制限していますか?
A: 各種調査によると、1〜2時間の制限を設けている家庭が多いですが、3時間以上と比較的長めに設定している家庭も見られます。大切なのは他家庭との比較ではなく、お子さんに合った時間設定です。
Q2: ルールを破ったときはどう対応すればいい?
A: 感情的に叱らず、なぜ守れなかったか話し合いましょう。「友達に仲間外れにされる」など重大な理由があるかもしれません。ペナルティは翌日の時間を少し減らす程度に留め、長期没収は避けましょう。
Q3: ゲーム依存症かもしれません。見極め方は?
A: 昼夜逆転、学校を休む、ゲーム以外に興味がない、食事をとらない、などの症状が続く場合は要注意です。WHO(世界保健機関)の基準では、これらの症状が12ヶ月以上継続する場合を「ゲーミング障害(ゲーム依存症)」としています。心配な場合は専門機関にご相談ください。
Q4: 小学生と中学生で制限時間を変えるべき?
A: はい。小学生は平日1時間、中学生は1.5時間を目安にしましょう。成長に合わせて段階的に自己管理を促すことが大切です。中学生になると、部活や塾、友達との関係も考慮する必要があります。
Q5: ペアレンタルコントロールは使うべき?
A: 小学生には推奨します。有害サイトのフィルタリング、利用時間の制限が可能で、安全な利用を確保できます。中学生以降は子どもとの信頼関係を考慮して判断しましょう。「見張られている」と感じさせないよう、事前に説明することが重要です。
まとめ
この記事のポイント:
- 適度なゲームは問題なし:1時間程度の利用なら学力に大きな悪影響はない(研究データ)
- 完全禁止は逆効果:禁止しても勉強時間はほとんど増えない(研究結果)
- 子どもと決めるルール:自己決定理論に基づき、子どもが守れるルール作りを
- 5ステップでルール作成:話し合う→具体化する→ペナルティ決定→見直す→親も守る
- 心理学的コツ:ペナルティより報酬、見える化、代替活動の提案
- ゲームを学びに変える:eスポーツ英会話、プログラミング学習など
スマホやゲームは、現代の子どもたちにとって切り離せない存在です。「敵」として排除するのではなく、「適切に付き合う相手」として捉え直すことで、親子の信頼関係を保ちながら健全な利用を促せます。
あなたは間違っていません。完璧な親である必要はありません。大切なのは、お子さんと対話し、一緒にルールを作る過程です。少しずつでいいので、まずは「今の利用時間を知る」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
ゲームを学びに変える方法として、eスポーツ英会話も選択肢の一つです。興味があればご覧ください。



